Signs Of Love【クリスマス短編】


そっか、今わかった。



先輩があの夜のことを話さないわけが。



先輩はあたしの高校の時の先輩で。



同じ課で仕事をする同僚で先輩。



あたしは先輩にとって、今も昔も後輩。



それ以上でもなければ、それ以下でもなくて。



好きな人でもなければ


イブの約束もしてない。



あの日のことは。



何もシてないのかもしれないし。



シてたとしても、先輩の中ではなかった事になってるんだ。



あたしが、あの夜のことを、どんな風に思っているかとか、先輩は気にならないんだね…



キンコ~ン。



始業のベルが鳴って、ハッと我に返ると。



その場に立ち尽くしたままだった、あたしの頬を冷たい涙が伝っていた――…




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