男友達
~ やっと気づいた ~

困らせないで


 清水とは、それからちょくちょく会うようになった。

 付き合っているのか、いないのか、曖昧なままだった。清水は付き合っている

とおもっているかもしれない。

 「付き合うって何?」


 よくわからないけど、清水といる時は、あのもやもやから解放されていたし、

楽しかった。逃げているだけなのかもしれないけど。



 その夜、卓也から連絡が入った。えらく暗い声だ。今夜、出てこれないかとい

う卓也。今日は清水と約束をしている。


 いったんは断ったものの、1時間後には清水に断りのメールを打っていた。



 卓也は珍しく、家に来るという。


 早時間にうちに来るのは何か月ぶりだろう。

 家に帰ると、簡単に部屋を片付けて、TVのスイッチを入れた。


 間もなくしてインターホンが鳴る。懐かしい音。


 玄関を開けると、まじめくさった顔の卓也が立っている。

 「入れば?」

 突っ立ている卓也に声をかけると、「ああ。」と我に返り部屋へと入る。何か

ひどく悩んでいるように見える。



 「最近どうしてた?」


 卓也が部屋をうろうろしながら聞いた。


 「んー、別に、これといって変わりはないかな。」


 清水の事はなぜか言えなかった。


 「そっか。」


 そう言ったきり、口をつぐむ。



 「そっちこそどうなの?旦那もちの彼女は。」


 精一杯明るく言って見せる。


 「…そのことなんだけど。もうどうしていいのか…ってか、どうしてほしいの

かわかんなくてさ。」


 「どした?何かあったの?」


 卓也は、どこから話していいのか迷っているのか、なかなか言葉が出てこな

い。

 少し考え込んで、ぽつぽつと話出した。
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