【短編】message
「あの道で何年か前に殺人事件があったわ。」

「なに?そうなのか?」

「お前はこっちの人間じゃないから知らないか。当時はすごい騒ぎでさ。小学1年生の女の子だったよ。」

ミナのことかもしれない。確信のようなものが僕の中に生まれていた。

「それって、詳しい年月日わからないか?」

「ここ、2、3年の夏だった気はする。あ、あとその子の姉ちゃんが俺らの大学にいるぜ。」

「やっぱり、お前は上村先生様だ!」

「なんだよ急に。犯人はすぐに捕まったんだけどさ、ひどい事件だった。」

ひどい事件か・・・。
僕は居た堪れない気持ちになっていた。
今すぐにでもミナのことを調べたい。

「悪い、祐介。ノート貸すから今日はここで解散な。」

「はぁ?どうした?別にかまわないけどよ。」

鞄からノートを放り投げると、祐介を置き去りにして図書館へ駆け出していた。

図書館の自動ドアが開くと、冷たい空気が僕を包んだ。

休むことなく走り続けた僕の体は、湯気が出ているのではないかと思うほど熱かった。

「生き返る・・・。涼しい。」

僕は書庫への階段に足を踏み出した。
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