【短編】message
試験期間が終わるまで、僕は美奈にも真美にも会いに行かなかった。

もっとも、真美には会わせる顔がなかったし。

僕を避けているのか、祐介と会うことも少なかった。

三日間降り続いた雨が嘘のように、外は快晴だ。

蝉の元気な鳴き声も久しぶりに聞いた気がした。

僕は部屋の中でくすぶっていた。
試験も無事終わり、外に出るのも面倒だったからだ。

テーブルの上で携帯が鳴った。

祐介からだった。

「わりぃ、これから大学近くのマックに来てくれ。」

「なんだよ、しばらく会いにも来なかったくせに。」

「いいから、今すぐな!」

僕は渋々、外出用のTシャツに着替えてマックへ向かった。

「いらっしゃいませ~。ご注文はお決まりでしょうか?」

「コーラのMサイズを一つ。」

飲み物だけを購入し、テーブル席を見渡した。

窓側のカウンター席で髪の長い女の子がこちらを見ている。

真美だった。

「春樹くん、こっち。」

彼女に招かれるまま、僕はその横に座った。

「久しぶり。この前は悪かったね。ごめん。」

「あたしのほうこそ、怒ったりしてごめんね。謝りたかったの。」

「じゃあ、もしかして・・・。」

「そう、祐介君。あれから毎日あたしの所に来て謝ってくれて。話だけでも聞いてやってくれって。」

あいつ・・・。僕の胸は熱くなった。

「あたしの話を聞いてください。」

僕は黙ってうなづいた。

「妹が、美奈が死んだ日・・・あたしあの子と喧嘩したのよ。」

真美はその日の出来事を搾り出すような声で話し始めた。
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