ブラウン管の中の彼女
「ったく!!お前もバカだな!!」
太一は僕のノートを無理やりもぎとり自分の席に戻っていった。
ちゃっかり持ってくんだ…。
太一は席につくと、ものすごい勢いでペンを走らせ始めた。
はたから見ると実早ちゃんに利用されてるのか…。
太一のチャイムとの必死の競争を見ながら物思いに耽る。
実早ちゃんにとって、利用価値がなくなったら僕は捨てられるのかな…?
そう考えると少し寂しい気がした。
隣に住んでいるとはいえ、僕達の間には天と地ほどの差がある。
実早ちゃんへの想いを封印しようとしていることが逆に気持ちを強めていることに…。
僕はこれっぽっちも気づいてなかった――…。