ブラウン管の中の彼女



不思議な光景だった――…。


ブラウン管に映る彼女と今さっきまで僕に抱きついていた彼女はまるで別人。


芸能人の“福永実早”と僕の幼なじみの“実早ちゃん”


2人を同時に見ていると妙な錯覚に陥る。


本当の実早ちゃんはどちらだろう…?


時々、そう思ってしまう――…。


僕にとっての実早ちゃんは勿論、幼なじみの実早ちゃんなわけだけど…。


だからかな…?


ただの幼なじみに過ぎないのに…。


僕なんてまったく冴えないのに…。


実早ちゃんに釣り合うはずがないのに…。


好きだって思ってしまうのは――…。



< 7 / 280 >

この作品をシェア

pagetop