ブラウン管の中の彼女
「芸能人になる!?」
突然の告白に僕は素っ頓狂な声をあげた。
「うんっ♪」
実早ちゃんはついこの間届いたばかりの中学校の制服に身を包んでいた。
「どうしたの?今までスカウトがきても興味ないって言ってたじゃないか…」
そう言うと実早ちゃんはう~んと唸りだした。
「な・い・しょ。」
最後にニコッと笑った彼女が印象的で未だに忘れられない。
そして実早ちゃんは早々と芸能界デビューを果たしたのである。
魅力的な笑顔に可愛らしい仕草。
当たり前だが(僕にとっては)実早ちゃんの人気は上がる一方だった。
それと反比例するかのように僕の気持ちは落ち込んでいった。