春待つ花のように
 カインに会って自分の世界がかわった。彼の心に触れ、力になりたいと思った。

 もっと彼のことが知りたい。どんなことを見て、どんな風に感じるのか理解したいと思った。傍にいて、支えてあげたいと心から思った。

「ローラ、何か聞いていないか?」

 ノアルは彼女の両肩を掴むと真剣な顔で言う。

「知らない。何も聞いてない」

 ローラは小さな声で答えた。

「あいつらの話を聞いていたんじゃないのか? 一緒にいたんだろ?」

「カインさんの計らいで別の場所にいたから…」

「そっか」

 ノアルは呟くとローラから手を離して、ベッドに横になった。

 あの口調に、あの表情。カインたちは近々行動を起こすつもりでいるはずだ。だからローラを帰した。

 彼女がいたら足手まといになる。そう決断したのだろう。それに彼女なら、裏切るようなことはしない。そう感じたのだ。

 自分もそろそろ決断をしなければいけないのかもしれない。ロマの情報もある程度仕入れてきた。

 カインの言うとおり、ここ数年のロマの横暴ぶりは目に余るものがある。まわりの人間たちの信用はがた落ちだ。
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