春待つ花のように
「クロウを殺しました。彼の遺体にアスラン家の家紋が縫われている布を置いてきました」

 カインの言葉に、ミゲルは目を大きくあけた。

「クロウって税金の倍増に一役買った奴ですよね? どうして何の相談も無しに…」

「彼はここ数日、私の後をつけていました。十年前の生き残りだと気づいたのでしょう。そしてここへ来る途中に声をかけてきました。だから…」

 カインは窓の近くに寄ると、暗い外を見つめる。役人がよく通る。クロウの死体はもう見つかってしまったのだろう。

「ここは一先ず、動かないほうがいいわね」

 アンジェラも窓から外を見る。カインは頷くと、ノアルを見る。

「俺も今日はここに泊まるよ」

「彼女は?」

「ローラは家にいるよ」

「そう…ですか」








 外を眺めるノアル。

今頃、カインたちはロマの側近であるローズの殺害計画を実行しているだろう。こんな昼間から…カインたちから聞いたときは思った。

しかしローズの予定や行動パターンを考えるとチャンスは昼間に多いと話していた。


『ノアル様は私たちの先頭に立っていてくれるだけで良いのです』

< 106 / 266 >

この作品をシェア

pagetop