春待つ花のように
 ロマには怒りがある。

復讐したい気持ちはもう抑えきれない。税の引き上げで、スラムの大人たちは連日、愚痴や貴族たちの怒りを口にしている。

ふと見ない顔がスラムで生活をしているかと思えば、スラムから姿を消している人間もいた。税が払えなければ、容赦なく切り捨てる。

その噂は本当なのだろう。

 宮殿での情報収集でもロマの評判は良くない。数年前までは、ロマを尊敬している人は多かった。

しかし今は、彼の横暴ぶりについていけないとぼやいている人が多くなっていた。

 復讐するなら、国を変えるなら今がチャンスなのかもしれない。行動に移すなら、この期を逃すわけにはいかないだろう。

「ほら、また考え事をしてる」

 ベッドから降りると、マリナはノアルの胸に顔を埋めた。ノアルはそんな彼女の腰に手をまわす。

「何かあったの?」

「特に…」

 ノアルは視線を動かす。マリナには自分のことを話すべきなのだろうか。彼女はローラのように、自分の過去を受け入れてくれるのだろうか。
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