春待つ花のように
「レイ、何をするの!」

「五月蝿い」

 ノアルに切りかかろうとするレイの腕に、マリナはしがみつくが、簡単に振り払われてしまう。

 ノアルは二、三歩後ろに下がるが、このままではレイに切り殺されてしまう。何かこの状況を突破する糸口はないものだろうか。

目だけを動かして、部屋中を探してみる。

「宮殿で真面目に仕事をしているから、目をかけてやっていたのに…とんだ食わせ者だったとはな」

 少しずつノアルとの間合いをつめていくレイ。ノアルも、レイが近づいてくる度に後ろに下がっていく。

 ガシャーン。

 窓が割れる音と共に、全身黒尽くめの男が一人、レイとノアルの間に入ってきた。

黒尽くめの男は、着地をすると、鋭い目をレイに向けて剣を抜く。

「お前…まだ…」

 レイの体がいきなり震えだす。さっきまでの怒りはすっかり消えていた。手に持っていた布を黒尽くめの男に投げつけると、部屋を飛び出していく。

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