春待つ花のように
「レイ…」

 マリナは切ない表情で彼を見る。何を言ったらいいのかわからない。ノアルのことを話したいが、今は火に油を注ぐだけ。

 レイはノアルを殺すことを諦めてくれるよう、自分が努力をしなくてはならない。どうすれば、彼が諦めてくれるのか。

「マリナ、おいで」

 レイが手を差し伸べる。その手をマリナは取り、立ち上がった。彼が引っ張るまま、彼女はベッドに歩いていく。

「大事なマリナ、さあ、ドレスを脱いでくれ」













 ノアルは肩で大きく息を吸うと、走っている足を止めた。息がつらい。

 カインやゼクスが居なかったら、自分はどうなっていただろうか。2人には感謝しなくてはいけない。

 ただマリナをレイのいる別荘に置いてきてしまったことが心残りだ。

 何だかんだと体を重ねていても、結局最後は自分が捨てられるのだ。それはわかっている。

 最初から終わりのある関係だった。でもこんなに早く終わりがくるとは思わなかった。
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