春待つ花のように
 ノアルはそんなことまで考えてしまう。

 カインは昔から頭がよく要領がいい。人の思っていることを予測して、先まわりをすることがよくあった。

「そうですよ」

 カインはノアルと目を合わせるとニッコリと微笑む。

「ノアル様の考えている通りです」

「え? マリナとのこと知っていたの?」

「ええ。ゼクスから聞いていました。このことは私しか知りません。内緒にしておいた方がいいと思いましたので…でもこうなったからには話しておくべきかもしれませんね」

「そう…だな。このことで皆に迷惑をかけることになるかもしれない」

 ノアルは下を向く。

 自分のことで皆の足を引っ張ることになるとは、心が痛む。しかし何も話さないでいる方が彼らには失礼にあたる。

 どうせ、レイに知られてしまったのだ。きっと役人を使って自分を探し出そうとするだろう。

 もしかしたら、役人に殺害命令が出ているかもしれない。彼の婚約者を寝取った男。放っとくわけはないだろう。

「その…ローラさんは…」

 カインは言いにくそうに、小声で言う。ノアルにはよく聞こえず、彼の顔を見上げた。

< 119 / 266 >

この作品をシェア

pagetop