春待つ花のように
「起きてるんでしょ?」

 毛布の中に手を入れてカインの太ももを触る彼女。

 あともう少しで彼の股間に手が届く。そう思ったとき、カインの手が彼女の手を振り払った。

「ほら、起きてる」

 シェリルは嬉しそうに言うと、彼の体を後ろから抱きしめる。

 しかし、カインはため息をつくと体を動かして、彼女から離れた。

 シェリルの誘いを断ったカインに、彼女は怖い顔をして睨む。

 ここ数ヶ月、カインの様子がおかしい…というか、自分に対する扱いが冷たくなった。

 10年前なんか、自分が嫌だと言っても、体を求めてきたのに。

 今は、毎度断られる。そう、ローラという女を彼が預かってから、彼はおかしくなった。

 仕事と復讐以外のことには全く興味を示さなかった彼。しかし、今は違うような気がする。

 最近はよく仲間に何も告げずにフッと姿を消すことがある。以前の彼なら、必ず仲間の誰かに行き先を告げて出かけていた。

 誰に聞いても、彼のそんな行動を気に留める人はいない。
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