春待つ花のように
 この10年、カインを癒してきたのは、この自分なのに。

 あんなスラムにいる女にあっさり横取りされるなんて許せない。あんな女のどこに魅力があるというのだろうか。

 拠点になっている薬屋でチラリと見ただけだが、女としての魅力なんて感じられそうにない体系だ。

 ノアルより年上そうだったが、まだまだ少女らしさが残っているし、子どもっぽい言動。気弱そうな振る舞い。

 髪は長いが、手入れをあまりしてなさそうで、適当にまとめ上げている感じ。

 胸があるわけでもない、痩せているわけでもない。全然、色気など感じられない女にどうしてノアルもカインも惚れるのだろうか。

 自分の方が、胸だってあるし、身長だって高い。髪は毎日綺麗にしている。そんな自分に、何処が劣っているというのだろうか。












「シェリル?」

 名前を呼ばれて、我にかえるシェリル。顔をあげると、そこにはノアルが心配そうに立っていた。
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