春待つ花のように
「な、何よ」

「そんな怖い顔をしていると皺が増える」

 ノアルの言葉に、シェリルと顔の筋肉を緩めた。美容には誰よりも関心をもち、気をつかっている。

 綺麗でいるために、毎日の努力はかかせない。

「あ…カインは!」

 シェリルはカインの姿がなくなっていることに気がつくと、ノアルに大きい声で聞いた。

「仕事だよ。夜にも仕事を入れたって話してたから」
 
ノアルの言葉に、彼女は信用していない顔つきで見る。本当に仕事なのだろうか。

 こんな夜から出かけるなんて、あの女の所にでも行ったのではないか。

「疑う女は嫌われるぞ。夜の仕事を頼んだのは、俺なんだ。心配だから…」

 ノアルは少し寂しそうな顔をする。

 カインから、イブやローラが役人に襲われたことを聞いていた。とくにローラは強姦にあいそうだったところを、カインが居合わせて未遂で終わった。

 自分のせいで彼女たちを危険目に合わせたくない。そう思って今、自由に動けるカインにお願いしたのだった。
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