春待つ花のように
「相変わらず、理想的な考え方が出来るのね。でもそれは、相思相愛だと思い込んでいるからじゃないの? 裏切られたことがないから、そう言えるのよ」

「そう…かもしれないな。裏切ることはあっても、彼女は裏切ってない…」

 切ない笑顔で笑うとノアルは、シェリルからは離れて階段を下りていった。















「こんな奴にかけることないよ」

 イブが、寝ているカインに毛布をかけようとするローラに口を開いた。

 カウンターでうつ伏せに寝ているカイン。

 そんなにお酒を飲んだわけではないのに、すっかり熟睡をしている。

 閉店のときにイブが声をかけたのだが、全然起きる様子はなく、ローラが部屋から毛布を持ってきてかけてあげたのだった。

「彼、イブが思っている程、悪い人じゃないよ。役人に襲われたときも助けてくれたのは彼だし…」

「まあ、この前のことは感謝しているけど…こいつにはローラを監禁した前科があるからね。すぐには信用出来ないね」

 残った食材を棚に戻しながらイブは言う。
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