春待つ花のように
 でも宮殿にいけば、嫌でもレイの母・レティアと顔を合わさなければならなくなる。それはマリナには苦痛だ。

 レティアはマリナを妃候補の一人とは認めていない。隣国から預かった奴隷…としか彼女を見ていない。

 そんな奴隷が、自分の息子の嫁になるなど言語道断。認めてくれるはずもなかった。

 また、あの奴隷の扱いを受ける毎日になるのだろうか。泥水を飲むかのような生活。3年前なら、テーラが守ってくれた。

 でももう。そのテーラは亡くなっている。

 マリナは暗い表情になると、レイから離れてソファに座った。

「宮殿の方がここより何倍も安全だ。母上には合わないように計らいをする。だから、一緒に宮殿に行こう」

 レイは、マリナの隣に座ると彼女の手を握った。宮殿には行きたくない。

 そんな我が侭、自分が言えるわけがない。マリナは顔を上げると、ため息と一緒に頷いた。















「カインは知っていたの?」

 アンジェラが質問すると、カインは何も言わずに頷いた。
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