春待つ花のように
「落ち着いてからでも良かったのに。今は役人の目だって光っているだろうし、ノアルにだってやることがあるんだから…」

「ごめん」

 軽く頭を下げるノアル。その姿を見て、ローラは片手を振った。

「あ…謝らないで。ノアルにはノアルの事情があるってわかってるから。それに何度も断られてるのに、好きだって言い続けていたのは私だから…ノアルは悪くないよ」

 ノアルはカップから手を離すと握りこぶしをつくる。悪いのは自分だ。

 彼女を傷つけたのも自分。彼女の気持ちを裏切ったのも自分。そんな自分を、ローラは許そうとしている。

 それは彼女を無理させているようで心が痛い。いつも彼女は、自分の気持ちを閉じ込めて、他人を責めたりしない。

 それはいいことでもあるが、今の状況では、彼女を苦しめているようにしか感じないノアルだった。

「ローラ、もっと責めていいんだ。本当に俺がいけないんだから。」

 彼女に思い切り責められたい、そう思っているノアル。

 そしたら、自分の心がすっきりするような気がする。自分のしたことはいけないことだ。

 それを責められることで消化できるような感じがしていた。
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