春待つ花のように
 まだ彼女はレイの妻になったわけではない。

 ただ彼の身勝手な行動で、別荘に閉じ込められていただけだ。もし、ロマたちを殺害し、新しい国の体制になれば、マリナと恋人同士になれるのだ。

「…考えたことなかった。彼女はレイを選んだから」

 ノアルは寂しく微笑むと、席を立つ。あまり長い時間、カインたちを外に出しておくのは悪い。きっと彼らも中の様子が気になっているに違いない。

 ローラにいれてもらった紅茶を飲み干すと、ノアルはドアに向かって歩き出した。















「人が良すぎるのも考え物ね」

 イブは外に出ると、カインの手を振りほどいてから言う。カインはチラリと店の方を心配そうに見ると、イブにニコリと微笑んだ。

「本当は微笑む余裕も無いくせに。年上だからって大人ぶってても何もいいことないわよ」

 イブは建物に寄りかかると、腕を組む。カインも彼女の横に寄りかかると星空を見上げた。
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