春待つ花のように
「イブさんは一体、何歳なんですか?」

「女に年を聞くものじゃないわ」

「すみません」

 イブは横目でカインを見ると、クスクスと笑い出した。

「28よ。貴方もそうだけど、ローラもろくな恋愛しないわね。どうして苦しい恋を選択しちゃうのかしら」

「どうしてでしょうね」

 イブは『ヤダヤダ』と呟きながら、その場に座り込んだ。

 ローラも彼も、見ていて苛々するくらいお人好しすぎる。自分のことより、まず他人の気遣いから始まる。

 他人のことばかり優先していたら、幸せなんかすぐに飛んでいってしまう。

「ノアルとどういう関係だか知らないけど、ローラのこと好きなら自分に引き寄せるぐらいのことはしたら?」

「それは出来ません」

 イブはため息をつく。

「あの子ね、幼いときに貴族の養子に一度なったことがあるの。そこで毎日のように義父から虐待を受けてた。義母は何も知らなくて…ある日、それを知った義母はあの子を責めた。そして追い出した。一生懸命、よい子を演じてたのに…それでも、あの子は自分がいけなかったんだって思い込んでいる。その過去をずっと引きずってるんだと思う。あの性格は…」
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