春待つ花のように
「別にいいわよ。そのかわり、店仕舞いが途中なの。手伝っていって頂戴」

 ノアルは、仕方ないと苦笑いをするとイブの後について店の中に入っていった。

 一人外に残ったカインは、両手で顔を覆った。

『私は…』

 あの後、イブに何を話すつもりだったのだろう。ガーネのことを話すつもりだったのか…。自分でもよくわからなかった。














『これからはここが、俺とマリナの部屋だ』

 宮殿の一室に入ると、レイが嬉しそうに言っていた。豪華な家具に装飾品が輝く部屋。別荘のときの寝室とは大違い。

 これではとてもゆっくり休めそうにない。

 窓の近くに椅子を持ってくると、マリナはノアルから貰った本を読み始めた。

 ノアルの母親が大切にしていたという本。彼の母親はどんな人だったのだろうか。

 きっとノアルに似て、心の強い綺麗な人だったのだろう。
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