春待つ花のように
「シェリルよ。カインとは昔から知り合いなの。長くて深い関係なのよ、私たち」

 シェリルは勝ち誇った顔で言う。イブはその顔を見ても表情を崩さなかった。

「そう。ならサービスしないとね。カインはここの常連だから」

 イブはそう言うと、おつまみと酒をカウンターに置いた。ローラは2人の異様な空気に怯えつつ、その様子を見守っていた。

 シェリルという女、カインとどんな関係なのだろうか。ローラは気になった。

「今夜、カインは来るのかしら?」

 空々しくシェリルは言う。イブはクスリと笑うと、時計を見る。

「さあ、長く深い関係の貴女のほうがお詳しいんじゃないの?」

「常連客の予定を把握してないなんて、店としてどうかしら?」

 2人は睨み合う。無言の戦いが始まった。ローラは思わず皿を落としそうになる。こんな緊張感のある空気。店で味わったことのない時間だった。

「あっ!!」

 ローラは大声を出す。

「何よ」

 シェリルは迷惑そうに、ローラのことを見た。
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