春待つ花のように
「どういうこと? 私を騙したの? 何なのよ、一体! 何考えてるの…」

 シェリルは立ち上がると、イブの胸を掴んだ。

「シェリル、やめなさい!」

 カインが大きい声を出して言う。

 シェリルが彼の顔を見ると、とても怖い表情をしていた。今まで、こんな顔をみたことがない。

 どんなに辛いことがあっても、悲しいことがあっても、自分の気持ちを表に出さない彼だったのに。彼女は、イブから離れると下を向いた。

「イブさん、申し訳ありません」

 頭を下げるカインにイブはため息をついた。

「面倒ごとは嫌いだよ」

「はい」

 裏口のドアを少し開けて中をのぞいているローラにカインは微笑むと、シェリルの腕を引っ張って店を出て行った。















「どういうことよ!」

 シェリルが帰り道の途中で、足を止めるとカインの背中に向かって叫んだ。
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