春待つ花のように
「ふ…男って馬鹿な生き物だ。一度快楽を知ってしまうと、我慢がきかなくなる。心も寂しくて悲しくて、人のぬくもりを求めてしまう。そのはけ口になってくれたんだ。彼女の気持ちを知っていながら…」

 カインは自嘲する。自分は本当に馬鹿で心の弱い人間だと思う。自分の気持ちを貫いて生きることも出来たはず。

 それなのに愛する人を亡くした寂しさから、逃れることが出来ずに一人の女性を傷つけてしまった。

 今更、後悔しても遅いことだが、愚かなことをしてしまったと思う。

「そう…」

 ローラは静かに言った。

 彼女はこんな自分に軽蔑しているのだろうか。少し不安になる。

「軽蔑した?」

「ううん。なんか少し安心した。シェリルさんと関係があったことはちょっと気になるけど、私も人のことを言える立場でもないし…」

 口ごもるローラ。ノアルとのことを言っているのだろうか。カインは微笑むと、彼女の手を触った。

 カインの温かい手が触れると、ローラはにこやかに微笑んで、彼の手を握り締めた。















「これ、テーラ様の…?」

 カインは一冊の本を手に取ると、瞳を大きく開けてゼクスの顔を見る。
< 178 / 266 >

この作品をシェア

pagetop