春待つ花のように
「ゼクスの了承は貴方に任せます。俺はまだここの庭師をクビになりたくありませんから」

 わざと畏まった口調で言うノアル。マリナは『任せて』と言わんばかりの表情をすると、ノアルに背を向けて食堂のドアへと歩き出した。

『私、話相手が欲しいの』

 ノアルは彼女の言葉を思い出すと、誰にも気づかれないように顔を緩めた。











「マリナ様、レイ様がお着きになりました」

 ノックの後、ドアの向こうから、ゼクスの声が聞こえてくる。

 マリナは重いため息を吐くと、膝の上に乗せて読んでいた本にしおりを挟んでからテーブルに置いた。

 今週もとうとう憂鬱な週末になってしまった。今日と明日の2日間、自分が自分でなくなる日。レイの玩具にされる。
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