春待つ花のように
 ノアルの想い人である彼女がどうして彼の母親が大切にしている本を持っているのだろうか。

 確かにテーラは役人に捕まってからは、亡くなるまでこの宮殿で過ごしている。マリナと接点があっても不思議ではない。

 それともテーラがノアルにこの本を渡しており、彼からマリナに渡った可能性もある。

 もしこの本がテーラから貰ったものであるなら、ここでの生活をマリナから聞くことが出来るかもしれない。

 テーラがどのようにこの宮殿で過ごしていたのか。そして死の真相がわかるかもしれない。

 もし、ノアルからこの本を貰っている場合、彼女と会うのは不安がある。彼女が一体どういう人間かはわからない。

 ゼクスからの報告からは、それほど悪い人間ではないと思える。しかしもしレイ側につかれてしまった場合、こちらの動きをレイに知られてしまうかもしれない。

 ロマの命を狙って密かに動いていることが知られたら、こちらの命が危なくなる。

 今はノアルだけを隠していれば済むことが、全員で国を出て行くことにもなりかねない。それは避けたい。

 今の機会を逃したくない。ロマが横暴を働いているからこそ、新王の誕生が必要なり、ノアルの価値も上がるというのだ。
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