春待つ花のように
「エマ…なんだろ」

 答えるまで離さない。そう言わんばかりにゼクスは手に力を入れる。上下に振っている腕を止めると、エマは小さく頷いた。

「5年ぶりだな」

「…」

「アスラン家残党捜索隊隊長がどうしてこんなところにいるんだ?」

 ゼクスの質問に、エマの喉がゴクリと鳴る。聞かれて欲しくない質問のようだ。

「王妃がそろそろ出てくる頃ではありませんか?」

 浴室の水の音が止むのがわかると、エマは無表情のまま言う。ゼクスはベッドの上に置いた服を着ると、ドアに向かって歩き出した。

「レティア王妃のお気に入りのお茶の葉は俺の部屋にある。後で取りに来るといい」

 部屋を出る前に、ゼクスは振り返って言った。
















『怪我しているのか?』

『訓練のときにちょっと…ね。上手く出来なくて、転んじゃった』

『大丈夫か?』

『平気平気! ゼクスさんみたいに強くなるまでは頑張るんだから』
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