春待つ花のように
「どうぞ」

 ゼクスの返事を聞いた彼女は、ゆっくりとドアを開けて入ってきた。

「お茶の葉をいただきに参りました」

 硬い表情のエマ。こんな暗い顔にしてしまったのはレティアのせいか。それとも自分のせいか。

「これから用意するから。そこに座って待ってて」

「これから?」

「そう。あれは、俺が何種類かの葉を調合してるんだ。それを王妃が気にいってくれてね。だから、街に探しにいっても売ってないんだ」

 窓際に置いて乾燥させていた葉の数種類を手に取ると、袋の中に綺麗に詰めていく。

 エマはベッドの上に座ると、ゼクスの背中を見つめる。変わっていない。自分で出来ることは、なるべくやる。

 そういう人だった。家事や掃除を嫌がることなく、自分でやっていた。栽培だってして、食費を少しでも軽減させていた。
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