春待つ花のように
「私が何をしようとあの人には興味はないのでしょうね。私は最初から、あの人にとって都合のいいお人形さんだったのよ」

 また始まった。エマはそう思う。『ロマ』のことを考え出すと、しばらく独り言が始まる。

 誰に訴えているわけでもない。相談をしているわけでもない。答えが欲しいわけじゃない。ただ自分の気持ちを外に出したいだけ。

 そうエマは解釈をしている。

「あの人にとって妻なんて誰でもよかったの。テーラ以外の女は誰だろうが同じ。…なのにあの女は、それすらも理解しようとしないであの人を冷たくあしらったわ」

 飲んでいたカップを勢いよく置くと、口を尖らせた。

「…このお茶、美味しいわね。ゼクスと知り合えてよかったわ。レイのおかげね。別荘からわざわざ呼んでくれて感謝しているわ」

『別荘?』

 エマは聞き耳をたてる。いつもの回想かと聞き流していたが、ゼクスのことは気になる。

「うふ。女狐の世話役なんて勿体無い! レイの護衛が終わったら、私の執事にするわ。それっていいと思わない?ね、エマ」

「え…あ、そうですね」

 急にふられてエマは急いで返答した。ゼクスがここで仕事をする。想像すると、少し嫌な気がした。
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