春待つ花のように
「エマ、そういうことならこのペンダントはノアル様に直接渡したらどうだ?」

 ゼクスのその言葉にエマは軽く口を緩めた。

「それは出来そうにありません。国王は今、アスランの残党に怯えています。だから私が宮殿から外に出るたびに何かあるのではないか、と疑っているのです」

 ゼクスの顔が一気に険しくなった。エマの命が狙われている。そう感じた。

「疑わしい者は全て排除するってわけ?」

 彼は思い切り壁を叩いた。

「どうしてもっと早く言わないんだ!? こんなギリギリになってから話すなよ」

「私も国王がこんなに早くに行動に出るとは思いませんでした。でも私を殺すにたりる罪状が出来たんです。王妃に与えた遊び相手に手を出した罰…なので、これいただいていいきますね」

 エマは、ゼクスが隠し持っていたアスラン家の紋章が刻まれた布を見せると部屋を出て行こうとする。

 ゼクスは大きく瞳を開けると、急いで彼女の腕を掴んで外に出ようとするのを止めた。
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