春待つ花のように
「駄目だ」

「行かせてください」

「駄目だ」

「私がこの布を持って死ねば、ロマは安心します。その隙を見て、ゼクスの夢を果たしてください」

 エマは彼の腕を振り払うと、部屋を出て行った。

「俺の夢ってなんだよ…」













 ゼクスは一人残った部屋で壁を再び叩いた。手の皮膚が赤くはれ上がるほどに。

『俺の夢』って何だよ!

 彼は心の中でもそう叫ぶ。

 このまま、エマを一人、見殺しにしてもいいのだろうか。自分は後悔をしないだろうか。
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