春待つ花のように
「そんなこと出来るわけないだろうが!」

 ゼクスは部屋を飛び出していった。彼女は何処に向かったのだろうか。外に出たら、すぐわかるところに居て欲しい。

 彼女を守りたい。もうあの時と同じような後悔はしたくない。











「エマ隊長をこんな形で捕まえるなんて…どうして…」

 若い男が悲しげな表情でエマを見つめながら言うと、エマは微笑んだ。

「ロマ国王にはなんと言われているの? 『逮捕』ではなく『殺す』ように命令されてるはずよ」

「僕が隊長を殺せるわけないじゃないですか! 国王も無茶苦茶ですよ。エマ隊長が裏切るわけないのに…」

 男の言葉にエマはクスクスと笑いだした。

「ロイ、人は変わるのよ。私はアスラン家の血を引く男に望みを託したの。国王はもう駄目。だから新しい国のために手助けをしたの。こうやってアスラン家の家紋を死体の傍におけば、皆が注目するでしょ?」

 エマの発言にロイは首を振る。『わかっています。そうやって殺されようとしているのでしょう』と顔に書いてある。

< 211 / 266 >

この作品をシェア

pagetop