春待つ花のように
「王子についていた護衛官は優秀だと聞いていましたから。少人数では逆に失礼かと…もっと多くても良かったみたいですね」

 廊下に倒れている自分の部下たちを呆れた顔で見るロイ。

 殺すように命じたはずなのに、自分たちがやられているなんて情けなくてため息が出てしまう。

 現役で軍隊にいる人間が、たった一人の男さえも殺せないなんて国王にどう説明すればいいというのだ。

「エマ隊長、作戦失敗のようです」

 ロイは、彼を追ってきたエマに振り返りながら言う。彼女は驚いた顔をするとすぐにゼクスの顔を見た。ゼクスは鼻で笑うと、ゆっくりと首を振った。

「そういうことか…」

 自分は騙された。そうゼクスは理解した。

「ちが…」

 エマは勢いよく首を振る。しかしゼクスは見ていない。

「あんたの名前は?」

 ゼクスはロイの顔を見て話しかけた。

「ロイだ」
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