春待つ花のように
「そうか。覚えておくよ」

 ゼクスは2人に背を向けると、裏口に向かって走り出した。













「これ、外してもらえないかしら?」

 エマはベッドに横になり、背中で縛られている手に力を入れてロイに言った。机に座っている彼はニコッと微笑むだけで、何のアクションも示さない。

 外す気はないのだと、エマは察した。

 狭い部屋に机とベッドしかない部屋。ここは宮殿の中にある軍の寮であろう。エマはここと同じような部屋を知っている。

 五年前まで軍隊長して生活していた。懐かしいとは思うが、なぜこんな所に自分は居なくてはいけないのだろうか。

「ここ、貴方の部屋よね? どうして私がここに監禁されなくちゃいけないのかしら」

「今の貴方を自由にしたら、裏切り者のところに行くことはわかっています。だからここに居てもらうのです」

「行くとは限らないでしょう」
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