春待つ花のように
 しかし今は女であることが悔しい。女でなければロイになどに馬鹿にされずにすんだ。

 部下として可愛がっていた彼に『所詮は女。男の僕には勝てない』とそんなことを言われ、体を玩ばれるなんて…。

「この傷あと、あの裏切り者がつけた傷だね。こんなに大きく傷付けるなんて…許せないよ」

 ロイはエマの右肩から左腹部にかけてある剣の傷跡にキスを落とすと怖い顔で呟いた。

 10年前にゼクスに斬られた体。誰にも見せずにいた。服装も傷跡が見られないように気をつけていたのに。こんな男に見られてしまうなんて。

「僕が仇をうつからね。隊長を苦しめる奴は僕が全部殺してやる」

 ロイはそう言うと、激しい情事の後でぐったりしているエマに布団をかけると部屋を出て行った。















「アスラン家残党捜索隊隊長のロイだ。ここに裏切り者の仲間がいるよね? 遠慮なく斬らせてもらうよ」

 マリナの寝室にノックも無く勢いよくロイは入っていく。

 マリナはテーブルに座り、お茶を楽しんでいた。その横でカインは焼きたてのパンケーキを切ろうとしている。
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