春待つ花のように
「こいつを捕まえたら行くと…」

「彼は私たちがやりますから。ロイ隊長はすぐに国王のところへ」

 黒のスーツの男が指を鳴らすと、彼の部下だと思われる二人がロイの腕を引っ張り、その場を離れていった。

 カインはマリナより前に出ると、ケーキナイフを持ったまま、警戒態勢をとった。

「今のうちにお逃げなさい」

 ロイの姿がなくなると、扇子をもってレティアが男の影から出てきた。

「王妃?」

 カインは驚いた顔をする。

「彼を覚えてない? ガーネの弟、ユズキよ。私の護衛官をしてくれているの。数少ない私の側近というのかしらね」

 カインはユズキといわれた男を見る。確かにそれは10年ぶりにみるガーネの弟だった。最後に会ったのは彼がまだ10歳にもなっていなかった。

「早くお逃げなさい!」

「あ…はい。でも…」

「ついでにこの娘も一緒に連れて行きなさい」

「え?」

 レティアは扇子でマリナのことを指すと、カインに微笑んだ。
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