春待つ花のように
「申し訳ありませんでした」

「謝って済む問題か!」

「私の勘違いのようで…」

「…勘違いだと?」

 ロイの眉がピクリと上に上がる。ユズキは、彼の手が腰にある剣に手をかけるのを見逃さなかった。

「裏切り者か…お前も」

「ロイ隊長、宮殿内での無闇な殺生はいかがなものかと思いますが」

 ユズキはロイに一歩近づくと、彼が鞘から剣を抜く前に手首の間接を返した。

「いっ…」

「ユズキ、何をしているの? ゼクスもエマも居なくて困っているの。早く探してきて頂戴…あら、ロイ隊長、ご苦労様」

 レティアはユズキの背中から声をかける。扇子を広げて話しているため、ロイには顔の表情が見えない。

「王妃…報告したいことがあります」

 ユズキの手が離れると、ロイは彼を退けてレティアの前に跪いた。
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