春待つ花のように
「しかし…」

「アンジェラ、復讐しないというなら母のことを調べてもいい。カインたちにもそう伝えてくれ」

 ノアルはそう言うと、コップに残っているお茶を飲み干した。

「ローラ、行こう」

 彼は立ち上がると、ローラの手を握って部屋を出て行った。













 ノアルは早歩きで北に向かってどんどん歩いていく。

 ローラの歩調など全然考えもせず、ただ家に帰ることしか考えてなかった。

「ねえ、ロマって誰?」

 どんどん行ってしまうノアルに小走りに追いかけながら、ローラは質問をした。本当は聞かない方がいいのかもしれない。

 彼が話してくれるまで待っていたほうがいいのかもしれない。でも、聞きたかった。

 あの薬屋にいた人たちとは一体どんな関係なのだろうか。ノアルはどんな生き方をしてきたのか。心の底から知りたいと思った。
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