春待つ花のように
ノアルは生まれてからずっと宮殿で過ごしていたが、こんな何気ない場所に抜け道があったなんて全く知らなかった。
「ここを行けば、スラムと別荘地の間にある川に出ます」
シェリルがまわりを気にしながら口を開く。この口ぶり。彼女はここに残るつもりなのだろうか。
自分だけ逃がして、彼女はあの争いの中に入っていくというのか。
真っ暗な階段を見つめるノアル。階段に降りれば、無事に宮殿からでられる。
ノアルは後ろを振り返ると、カインとテーラが入ってこちらに近づいてくるのが見えた。
「母上!」
ノアルはそう叫ぶと、テーラに抱きつこうとする。しかしテーラは彼の手を振り払うと、シェリルの肩を掴んだ。
「リラが…。リラがまだ…」
泣きながらテーラはシェリルに言う。
ノアルがカインと目を合わせると、カインが瞳を閉じて首を振った。
「ここを行けば、スラムと別荘地の間にある川に出ます」
シェリルがまわりを気にしながら口を開く。この口ぶり。彼女はここに残るつもりなのだろうか。
自分だけ逃がして、彼女はあの争いの中に入っていくというのか。
真っ暗な階段を見つめるノアル。階段に降りれば、無事に宮殿からでられる。
ノアルは後ろを振り返ると、カインとテーラが入ってこちらに近づいてくるのが見えた。
「母上!」
ノアルはそう叫ぶと、テーラに抱きつこうとする。しかしテーラは彼の手を振り払うと、シェリルの肩を掴んだ。
「リラが…。リラがまだ…」
泣きながらテーラはシェリルに言う。
ノアルがカインと目を合わせると、カインが瞳を閉じて首を振った。