先輩の妹
「……」
キーン…コーン―――
チャイムが聞こえる。
彼女が通りすぎてからも俺たちはしばらくその場で黙っていた。
…彼女の迫力に圧倒されたというか、なんというか、
さっきまで近くで俺たちに向けられていた冷たい目線の持ち主は
すべてが整っていて高校一年生とは思えないほど大人びていた。
長いふわふわした髪はほんのり栗色に光り、透き通った白い肌は春らしいピンクが頬を優しく包むように色を出していた。
そして何よりまっすぐな目とさらさらとした綺麗な声が俺の中には残っていた。
彼女の一瞬の美しさに俺たちはただ呆然としていた。