揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
「紅茶、冷めるわよ?ケーキも、きっと気に入ってくれると思うんだけどな」


そう薦められても、私は手を伸ばせなかった。


今なら…片山さんの気持ちが、とても分かる気がする。


納得いかないよね。

同じ想いでいると思っていた相手が、実は他の人を想っているだなんて。


「彼に…大翔君に、訊きます」


どうせ言われる事が同じなら、大翔君から聞きたい。


諦められるわけじゃないけれど。

このままじゃ…彼を嫌いにもなれないし、好きなままでもいられない。


「大翔が言うわけないじゃない。……そんなに知りたいならいいわ、私が教えてあげる」


溜息まじりに言う彼女は、呆れたような顔で私を見ている。


知らない方がいいのに。


そんな感じで、私の事を憐れんでいるかのように。


「ここじゃなんだから。ケーキ食べたら、家に行きましょ?」


「……はい」


促されるままに、今度はケーキに手を付けた。


高そうな栗をふんだんに使っているマロンクリームが、とんでもなく美味しかった。

だけど、手放しで美味しいって喜べるような気分じゃなくて。


濃厚で深みのあるミルクティーと共に、なんだか事務的に喉の奥に流し込んでいくだけだった。


いつか、大翔君とゆっくり来たい。


その願いは、叶う日が来るのだろうか……?
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