揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
文字通りに彼女に背中を押された私は。

ゆっくりと頷くと、鞄から赤い携帯を取り出した。


ドキドキしながら折りたたみ式の携帯を開き、受信メールの画面を出す。


未読メールは、やはり大翔君からのもの。


緊張から小刻みに震える指先で、思い切ってメールを開封した。


≪日曜日は、約束してたのに行けなくてゴメン。もっと早く連絡したかったんだけど、今日までできなくて。今は、奈良に向かってるバスの中なんだ。修学旅行よりも、早く帰って由佳に会いたいよ。お土産買って帰るから、明日会える?早く、由佳の顔が見たい。声が聞きたい。抱きしめたい。キスしたい。愛し合いたい。苦しいぐらいに…心と体が由佳を求めてるから≫


凄く、心が苦しかった。


これが…嘘なの?

私を騙そうとして、こんな事を打ってるっていうの?


今までなら、顔が赤くなってしまうような嬉しい言葉。


でも、これは彼の本心じゃないんだよね……?


「……由佳?」


心配そうな沙希の声。

自嘲気味な笑みと共に、私は携帯の画面を彼女に向けた。


「大翔君、ホント上手だよね。こんな事言われたら…信じちゃうじゃん」


だけど、何でなんだろう?


嘘だって分かってるのに、嬉しいって思っちゃうんだよ。

私も…早く会いたいって願ってしまうんだよ。


会いたくて。

声を聞きたくて。

抱きしめられたくて。

キスして欲しくて。

激しく…愛して欲しくて。


騙されてるって分かってるのに彼を想うのは、やっぱり間違ってるのかな?
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