揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊦
小学生の彼をまどかさんが捨てたら……?


それって、彼の家族がいなくなるって事よね。

彼はまだ1人じゃ生活していけないし、義務教育中なんだから……。


「施設に行く…とか?」


見当違いかもと思いながら、私は自信の無さから小さめの声で答えた。


だけど、彼の表情は少し優しくなって。

ゆっくりと…頷いた。


「当たり。まどかさんに捨てられたら、俺は児童養護施設に即入れられるよ。別に、施設の暮らしが嫌なんじゃない。ただ、甲子園に行く夢が叶わなくなってしまうのが…嫌だったんだ」


背筋がゾクッとするのを感じた。

別に、寒いわけでも怖いわけでもない。


ただ、自分の中で何かが繋がったような気がして。

モヤモヤしていたモノがはっきりしていくような、そんな感覚に襲われたんだ。


「だから…抱いてたの?好きでもない、お母さんを……」


「そう。捨てられたら困るから、俺は好きでもないまどかさんを抱いてる。心にもない言葉で彼女を喜ばせて、体で奉仕して。最低…だよね?」


自嘲気味にそう言うと、大翔君は「はははっ」と笑い声を上げた。

乾いたその笑い声は…一層彼を悲しく見せる。


「それで、まどかさんは俺に彼女を作るように言ったんだ。親子でそんな事シてるってバレないように、カムフラージュにって。だから俺は、幼稚園の時から家族ぐるみで行き来のあった梨香を選んだ」


部分的にまどかさんの話とリンクしている。


だけど、決定的に違うのは。

彼が…まどかさんを愛していないんだっていう事。
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