愛かわらずな毎日が。

「じゃあ、一緒に」

目を細めたままの福元さんがそう言ってくれたから、私は、ふぅっと小さく息を吐き出した。

福元さんと同じようにサンドイッチとペットボトルの紅茶を持って、今はすっきりとしてしまった柴田部長の席に腰を下ろした。


「いただきます」

左斜め前の福元さんが私にペコリと頭を下げた。


「どっ…、どうぞどうぞっ」

カァッと赤くなる頬に思わず手を置いた。


顔が見たい。

声が聞きたい。


そう思っていたのに。

緊張するばかりで、どうしたらいいのかわからない。

必死に探した言葉はとてもありきたりなもの。


「毎日、遅くまで大変ですね」


だけど、福元さんはやわらかな表情をして、

「そんなことないよ」

と言う。


「………ぁ、」


きゅん、と胸が鳴る。

のどが、ぎゅうっと締めつけられたみたいになって、じわじわと熱くなる。


すぐそこに福元さんの笑顔がある。

それだけで、胸がいっぱいだ。


トクトクと脈打つ心臓と、ゆっくり流れる時間が重なり合って。

それがまた、私の体温を上げていく。

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