愛かわらずな毎日が。
「私、まだ25だよ?結婚なんて、まだまだ先の話。みつひろだって働き出したばっかりだし、そんなの頭にないでしょ」
プツッ、とテレビの電源を切る。
「中継先の伊藤さーん」の声のあとに映し出された画面に、みつひろの姿を見つけることはできなかった。
「随分と余裕なのねぇ。みっちゃんに逃げられないように、しっかり捕まえておくのね。あの子に捨てられたら、今度いつ相手が現れるか、わかったもんじゃない」
フンッと鼻で笑った母親が突然、きゃーっと叫び声をあげたかと思ったら、
「たまご割っちゃったじゃない。もーっ。あんたのせいよ」
と、母親らしからぬ言葉を吐き捨てた。
「人のせいにしないでくれる?」
私はため息混じりにそう言うと、ズルズルと体をずらし、ソファーに横になった。
みつひろに捨てられたら私、どうなっちゃうんだろう。
考えてもみなかった。
目を閉じればみつひろの笑顔が浮かぶ。
私、捨てられちゃうんだろうか。