愛かわらずな毎日が。

福元は、自分のことをペラペラと話すようなやつではない。

私生活のこと。特に、恋愛に関して。

今まで福元の方から報告を受けたり、相談を持ちかけられた記憶が、まったくと言っていいほどないのだ。


レイカちゃんとのことだってそうだ。


「言ってなかった?」なんて。

随分と日にちが経ってから知らされた。

というか、俺が聞き出した。


俺が聞き出さなかったら、いつ言うつもりだったのだろうか。


正直、ショックだったよ。

まぁ、言いづらい部分もあっただろうけど。

でも。


俺たちは同期で。親友だ。


もう少し、頼ってくれてもいいんじゃないかと思う。

だから、というわけじゃないけど。

そういうことがあってから、どこか意地になってしまった俺は、

「彼女はできたのか?」

「好きな子はできたのか?」

時々、そうやって福元のことをつついてきた。

けれど毎回、「仕事が忙しくてそれどころじゃない」なんて言い訳をされる。


忙しくたって恋愛はできる。

と、俺は思うんだけど。



「そうか。そうだった。おまえ、二年もひとりぼっちなんだな」

フンッと鼻で笑って福元を見ると、福元は涼しい顔して二杯目のビールを注文していた。


そんな平気な顔をしてるけど。

二年経ってもひとりでいるってことは。


もしかして。

もしかすると。


「おまえ、まだレイカちゃんのこと、」

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