愛かわらずな毎日が。
まだ、好きなのか?
ずっと想い続けているのか?
ゴクリと喉を鳴らした俺に、福元は、
「それはない」
と、きっぱり言い切った。
でも。
「……今、『ま』がなかったか?『間』が」
「ない」
「いや、あった」
「ないよ」
「………ふぅん」
「なんだよ、その目は」
カウンターテーブルに両腕を乗せ、少し背中を丸めた姿勢で俺を見ていた福元が、やれやれといった表情で二杯目のビールに口をつけた。
「じゃあ、訊くけど」
「あぁ」
「今現在、彼女は?好きな子は?気になる子はできたのか?」
「……ケホッ。…………べ、つに」
ん?
なんだ?
動揺してるじゃないか。
しかも。
今度は確かにあった、よな。
ほんのちょっとの。
僅かな『間』が。
その数秒の間に、福元の頭の中には確かに女の顔が浮かんだはずだ。
……気になる。
非常に気になる。
「誰だよ。その子とはどういう関係?……って。その子、俺の知ってる子だったりする?」
「…………」
「なぁ、誰だよ。教えろよ」
「…………」
福元の、丸まっていた背中が更に丸くなる。
両肘をつき、頭を抱え込むように手のひらでこめかみを押さえてしまった。
これはもう、間違いないと言えるのではないだろうか。