愛かわらずな毎日が。

「おまえに言うと、面倒くさいことになりそうだから」

福元はそれだけ言うと、下げていた頭を上げ、更にグイッと顎を上げてビールを流し込んだ。


なんだよ。

今回も言わない、とか？

言わないつもりなのか？


………ふぅん。

それならそれでいいさ。

おまえがそのつもりなら、当てるまでだ。


「じゃあ、ヒントくれ。ヒント」


「………だから。おまえの、そういうところが面倒くさいんだよ」

半分も残っていないビールの入ったグラスをコースターの上に置いた福元が、眉間にシワをよせてそう言った。


「面倒くさいとか言うなよ」


「もー…。ほんと面倒くさいんだよ、おまえは」


「そういうとこ、嫌いじゃないくせに」


「…………」


「で？おまえの頭の中に浮かんじゃった子っていうのは、今はまだ彼女じゃないんだよな？」

俺の問いかけに福元は、嫌々ながらも小さくウンと頷いた。


「気になってるカンジ？」


「……なんていうか。……面白い子、だなぁと」


「おもしろい……？」

福元の口から思わぬ単語を聞かされた俺は首を傾げた。


「あぁ。……まぁ、その。
『緊張感よりケーキのほうがうれしい』って。
そんなことを、サラッと言うような」


「……………」


悪い。

まったくわからん。

なんだ、それ。