愛かわらずな毎日が。

それからというもの、福元のことをできる限り監視?観察?して、「面白い子」についての情報を得ようとした。


………のだけれど。


「わかるか、っつうの」

営業日誌を一冊ずつ確認する福元を睨みつけた俺は、吐き捨てるようにそう呟いた。


取引先で?

それとも、俺に内緒で合コンにでも行ったのか?

高校時代、もしくは大学時代の?


当然のことながら、福元と四六時中行動を共にするなんてことは不可能だ。

というか、それは気色悪くてカンベンだけど。


俺の知らないところでコッソリ「面白い子」と会われていたら、そりゃ、チェックの入れようがない。


キーワードは、「緊張感とケーキ」

それ以外は何ひとつとして与えられてない。


仕方ない。とりあえず、社内から攻めていくか。



「森下さんはさ、緊張感とケーキ、どっちが嬉しい?」


「はぁ?なんですか、それ」


「うん。どっちが嬉しいかな、と思って」


「あのですね、佐伯さん。そんなワケのわからないこと、今はどうでもいいんです。
ここ、記入モレがあるので受け取れませんよ」


「あ、そう?あはは。ごめんね」


突き返された有給休暇取得の申請書を手に、ポリポリと頭を掻いた。


なかなか思うようにいかないもんだな。


企画部でも、経理部でも、大した情報を得ることができなかった。


「総務で残ってるのは……、香織ちゃんと間宮さんか」

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